失敗しない外国人エンジニアの雇い方【技術・人文知識・国際業務】
日本において人材不足は多くの企業にとっての課題です。とりわけ、小さな中小企業の人材不足は急を要する問題ではないでしょうか。人材不足を「外国人」を雇用することで解消したいという経営者さんも多いと思います。
その中で日本で働く外国人人材は「製造業」でもっとも多く働いています。その数は約500,000人にのぼり割合は全体の26.6%にもなります。(参考:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」)
今回は、はじめて「製造業」で外国人人材を雇用しようと考えている中小企業主さんに向けて、失敗しない外国人エンジニアの雇い方についてお話します。
※なお、ここでは採用者向けに入管法の在留資格(VISA)ルールをかなり簡素化して説明しています。ご了承ください。
目次
■インターン活用という留学生だけに使える採用方法
はじめて外国人人材を雇用する経営者にとって、まず心配なのが「外国人がわが社にマッチングするだろうか」ということでしょう。
実際に外国人の採用は「文化の違い、言葉の壁、能力の適正、社員との人間関係、キャリアアップ制度」などたくさんの難問があります。
そんな中で弊所がお客様にこれまでお薦めしてきた外国人採用方法が「インターンシップ活用」です。この外国人インターンシップは日本人の大学生が大手企業などに就職活動前におこなっているなんちゃってインターンシップとは違います。
ガチで採用を前提としたトライアルとしてのインターンシップです。私がこの在留ビザtoキャリア大阪で留学生の採用をお薦めしている理由はここにあります。
※ここでいうインターンとは在留資格にある『特定活動(9号・インターンシップ)』のことではありません。
■留学生をアルバイトで雇ってみる
弊社がおすすめするやり方は留学生を留学生VISAの間に自社でアルバイト雇用して、自社の仕事にトライしてもらうというものです。
留学生の間だけ使える「資格外活動許可」という許可があり、この制度を利用しようという試みです。なお「資格外活動許可」では風俗営業での就労は認められません。風俗営業には、キャバクラ、ダンスクラブ、バー、パチンコ屋、ゲームセンターなどが当てはまります。
このように本採用前に使用期間として人を雇うということは、いたって当たり前のことだと思います。
しかしこの当たり前のインターン採用は、どこの人材紹介会社も推奨していません。なぜなら、彼らにとってお金にならないからです。人材紹介会社としては外国人が社員として採用されてこそ報酬が発生します。
上記のような、トライアルとしてアルバイトでインターン採用をして、マッチングする人材なら採用というパターンの人材紹介は存在しないからです。
■どうやってインターンしてくれるが留学生をみつけるのか?
経営者の方が一番お知りになりたいのは「ではどうやってインターンしてくれるが留学生をみつけるのか?」ということだと思います。
私のこれまでの実績をあげると以下のようになります。
・大学や専門学校の就職課に相談する
・求人サイトやハローワークで積極的に外国人採用をうたう(留学生も可など)
・留学生の知り合いがいれば常にスカウトしてみる
・魅力的な会社であればインターン生が他の留学生を紹介してくれる
という採用方法です。これもいたって当たり前ですが、誰もやりません。
恐らく、留学生をアルバイトで工場で雇うという発想がないのでしょう。またそれを職場マッチングの機会ととらえ、良い人材であればそのまま本採用につなげようという考えがなかったからでしょう。
しかし、これまでも私の事務所のサポートでは大学生や専門学校の留学生を製造業でインターン採用し、マッチングした学生をそのまま卒業と同時に本採用したケースは多々あります。
留学生からしても、アルバイトでお金も稼げて、職場になじみながら仕事を覚えることができるインターンは非常に良い機会なのです。
■どんな仕事につけるのか?
これは、その留学生が御社に本採用された後どんな仕事をして欲しいかによるでしょう。インターン採用す人材はエンジニアVISA(技術・人文知識・国際業務)の要件を満たしている必要があります。
インターン採用中は実は基本的にあらゆる業界、職種につくことができます。ただし週28時間以内しか働けません。
そのため、製造業の経営者の中には、人手不足の「現場作業(単純労働)」ばかりやらせようとする人がいます。
しかしこれではインターンの意味がありません。当然、インターン採用する留学生は将来のエンジニアになるのですから、エンジニアとしての業務もアルバイトで経験させるべきです。(会社の全体の流れを知るため、現場作業(単純労働)を学ばせることも大事です)
例えば大学で理工学部などで勉強している留学生ならば、当然CADやメカニックに関する勉強をしています。
そこで、エンジニアとして採用したいのであれば、インターンでは現場作業(単純労働)もある程度経験しながらも、CADや機械のメンテナンス管理などにもちゃんと従事してもらうことです。もちろん日本語もたどたどしく、エンジニアとしては即戦力ではありません。しかし、アルバイトのうちに職場になれてもらうことができるこのインターン採用は、自社に適した人材かどうかを判断する大きな材料になるのです。
■現場作業(単純労働)の人材を募集したい
なお、エンジニアではなく、いわゆる「現場作業(単純労働)」で働いてくれる外国人人材が欲しいという会社もあると思います。留学生が「現場作業(単純労働)」で働ける在留資格(VISA)は基本的に
【特定技能1号12分野】
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
での採用になります。この場合、いくつかの要件が必要です。
・日本国内で定期的におこなわれるその分野の特定技能試験を留学生が合格すること
・留学生の日本語能力がN4以上であること。
・特定技能の分野によっては業界の協議会に加入する必要がある(年会費等がかかる)
・決算内容や財務内容が悪い場合は審査に影響する場合がある
・労働保険、社会保険が確認できる書類が必要
・納税証明書が必要
などなど
このように、かなり複雑な要件が必要です。特に厳重な経営状況・労務環境のチェックをされる点は、エンジニアVISA(技術・人文知識・国際業務)と大きくことなるところです。
■まずは試してみてはいかがでしょうか?
いずれにせよ、私はこの留学生をインターン生として一定期間、自社でアルバイトとして雇用する方法を推薦しています。なぜなら外国人が自社にマッチングするかどうかは外国人採用で「もっとも重要なこと」だからです。
人材紹介や採用サイト、ハローワークでも優秀な外国人人材は応募してくると思います。
しかし、彼らが本当にあなたの会社の社風や業務に適応できるかどうかは、働いてみてからでないとわかりません。
いざ採用しても人材紹介会社が言っていたような「優秀な人材」でない可能性もあります。(実際にこういうトラブルは多々あります)
しかし、インターン生として留学生の間に実直に御社の現場仕事から、専門的な仕事まで経験することで、外国人の人となりや能力を判断することができます。また外国人にとっても、その会社が自分にとって働くに値する企業なのかを判断する良い機会にもなります。雇い主と従業員ともにWINWINな関係になると思います。
もし、期待にそわない人材だったとしても、少なくともアルバイトとして仕事はしてくれていたわけですから、まったくの無駄だったわけではありません。次のインターン生へこの経験をいかすこともできるでしょう。
弊社がおこなうインターン活用の外国人採用スキーム
弊所は在留資格(VISA)の申請をサポートする行政書士事務所です。このスキームは人材紹介ではなく、あくまでも在留資格申請のためのサポートです。
弊所がこのインターン活用でサポートする内容は以下のとおりです。
・留学生をリクルートするための大学や専門学校へのアプローチのアドバイス
・その留学生が御社の職種で働けるかどうかのアドバイス
・大学や専門学校との相談サポート
・インターン採用時の御社と留学生のマッチングサポート(留学生からもクレームがあればその改善を図る)
・マッチングが決まれば、卒業後の本採用を目指し就労VISAへのVISA変更申請を進める
・採用後も必要であれば1年間のフォローサポートを継続
留学生をインターン採用したいけど、自社の業界・業種に合うかわからない、どうやって留学生をリクルートすればいいのかわからない、などお悩みの方はぜひお問い合わせください。
■はじめての外国人採用のときこそ、専門家に相談するのが大事
外国人採用で気をつけないといけないことは、外国人の雇用は日本人のルールとは違うということです。労働基準法などはもちろん、在留外国人へのルールである入管法などの特別法にも気をくばらないといけません。もし知らない間にこれらの法律を犯した場合、刑事事件にもなりかねません。
そのため初めての外国人採用のときに、在留資格(VISA)専門の行政書士に相談することが大切です。
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