失敗しない特定技能1号採用『介護』-訪問介護追加-

特定技能1号『介護』

2025年・特定技能1号『介護』に訪問介護追加

現在、日本では高齢社会が進んで社会問題化しています。その一方、それを支える介護業界では深刻な人材不足に直面しています。この打開策の一環として現在外国人人材が注目されています。

これまで介護・福祉サービスの現場で働ける就労VISA(在留資格)は以下の通りでした。

介護
特定活動(EPA)
特定活動(46号)
特定技能1号
技能実習
(永住権を持つ外国人や、日本人配偶者などの身分系在留資格所持者を除く)

しかし、これまで介護・福祉事業者に課題だったのが『介護』の特定技能1号・技能実習では訪問介護サービスが提供できませんでした。

2024年現在『介護』の特定技能1号・技能実習は以下の介護・福祉サービスしか働くことが許されていません。

『介護』の特定技能1号・技能実習が働ける対象施設

『介護』特定技能1号・技能実習の対象施設
『介護』特定技能1号・技能実習の対象施設(2024年現在)

そんな中、2024年6月厚生労働省主催の有識者検討会で、特定技能1号『介護』でも訪問介護に従事することを追加する方針を決めました。

これまでは就労VISAで訪問介護に従事者できる在留資格は、介護福祉士の資格を持つ経済連携協定(EPA)締結国の出身者と在留資格「介護」の人に限られていたものが、特定技能の外国人材も加わることになります。

具体的な要件や事業者に求められる順守事項などは今後固められてゆく予定で、2025年度からの実施を目指しています。

特定技能1号『介護』の訪問介護追加のメリットは?

公益財団法人介護労働安定センターがおこなった令和4年度介護労働実態調査によると、訪問介護職員(訪問介護ヘルパー)が不足していると答えた事業者及び職員は83.5%となっています。これは他の介護サービスも含めた全体平均66.3%と比較してもかなり高い数値となっています。このため、日本の各種介護事業のなかでも特に訪問介護職員(訪問介護ヘルパー)が人材不足であることがわかります。

介護職員従業員の職種別過不足状況
介護職員従業員の職種別過不足状況

そのことからも今回の特定技能1号『介護』へのも訪問介護(訪問介護ヘルパー)サービス解禁は、訪問介護職員(訪問介護ヘルパー)不足に悩む事業所にとって、特定技能1号『介護』の訪問介護追加は大きなメリットとなると思います。

特定技能1号『介護』の訪問介護追加のデメリットは?

しかし、特定技能1号『介護』の訪問介護追加はメリットばかりではありません。デメリットも今後増えることが予想されます。

1.医療・介護事故の発生が多発するのでは?

外国人ヘルパーが多く誕生するうえで懸念されることは、医療・介護の現場での事故の発生が多発することです。医療介護の専門的日本語の理解不足や文化の違いから、利用者や上司・同僚介護スタッフとのコミュニケーション不足が予想されます。その影響で気をつけるべき施術や利用者個々人の症状理解などが不足してしまい、重大な事故を招く危険性があると心配されます。

これは現在認められている介護・福祉サービスの現場で働ける就労VISAの外国人であっても発生している事例です。

安直な外国人雇用は、逆に事業所経営を圧迫してしまう危険性をはらんでいます。

2.外国人介護ヘルパーへのハラスメントの不安

以外に見落とされていますが、利用者や従業員からの外国人ヘルパーへのハラスメントも懸念すべき材料です。
日本語や介護技術が未熟な外国人ヘルパーは、職場において弱い立場です。特に外国人ヘルパーを目指している外国人は若い女性が多いため、事業所での「セクシャルハラスメント」「パワーハラスメント」の対象になってしまう可能性があるのです。

日本語ができない外国人人材がそういったハラスメントにあった場合、事業所内に改善できる相談窓口が必要です。
もし改善がなく、外国人が退所後に労働基準監督署や弁護士に相談した場合、事業所経営に大きな痛手となることは想像できると思います。

これらを防止するために、外国人採用の際は、ハラスメント防止体制が必須となります。ただし、職場でのハラスメント防止体制はもともと厚労省や自治体が近年求めてきた方針です。外国人人材を採用したことがきっかけで、これまで見直しが遅れていた職場改善の課題が進んでいくという可能性があるかもしれません。

3.施設内訪問介護と従来型訪問介護の格差助長

今回の法改正で一番メリットがあるのは、有料老人ホームや病院、サ高住などに併設された施設内訪問介護事業所でしょう。訪問介護とはいいながら、実質施設内での訪問介護サービスの提供となります。こういった事業者は比較的大規模な施設を運営できる資本力のある運営者です。

一方、利用者の自宅での訪問介護サービスを提供している従来型従来型訪問介護は原則1対1で行う訪問介護の提供となります。この場合、利用者個々人の身体の状況や生活実態に即した対応が不可欠なため、ヘルパーに求められる技能や顧客サービス能力は相対的に高いものとなります。
また、従来型訪問介護では利用者の自宅へはヘルパー自身が車で移動するパターンがほとんどのため、外国人ヘルパーが運転免許を持っていない場合、ほとんど戦力となりません。つまり採用後も実質かなりの時間的金銭的な教育コストがかかるであろう外国人ヘルパーは、即戦力足りえないのです。

訪問介護サービスの本来の趣旨である「利用者の自宅において個々人の身体の状況や生活実態に即した、原則1対1の訪問介護の提供」には今回の法改正はあまり改善点はありません。むしろ、資本力のある大規模な施設内訪問介護事業者と、小規模運営が大多数の従来型訪問介護事業者との格差が助長されてしまう懸念も大いにあるのです。

今後の具体的な要件や事業者に求められる順守事項とは?(『介護』特定技能1号)

技能1号『介護』訪問介護(訪問介護ヘルパー)解禁が決まりました。しかし、2025年度からの実施を目指すとのアナウンスはあったものの、具体的な要件や介護事業者の順守事項などは2024年10月現在でもまだ未確定です。

もともと訪問介護員職員(訪問介護ヘルパー)になるための要件は最低でも「介護職員初任者研修」を受ける必要があります。介護に関する基礎的な知識や技術習得のための全130時間のカリキュラムで、最後に筆記試験があり3~4ヶ月程度で修了します。

試験自体は筆記試験ですが、初任者研修のスクーリングでは、下記のような実技を学びます。

・排せつ介助
・食事介助
・移動・移乗
・ベッドメイキング
・更衣の介助
・入浴の介助

一つ一つの実技はすべて介護現場で必須となってくる技術ばかりですので、訪問介護事業者としても最低限初歩的施術スキルは採用される前からヘルパーは身についていると想定していることでしょう。

しかし、現在の特定技能1号『介護』評価試験は初任者研修と比較しても不十分な知識や技術の試験です。そのため、今の『介護』評価試験のままで訪問介護(訪問介護ヘルパー)業務ができるようになるとは考えられず、何らかの追加試験が予想されます。ただし今の段階では未定です。

■今すべきこと。留学生をインターン活用して特定技能で採用する

はじめて外国人人材を雇用する経営者にとって、まず心配なのが「外国人がわが社にマッチングするだろうか」ということでしょう。
実際に外国人の採用は「文化の違い、言葉の壁、能力の適正、社員との人間関係、キャリアアップ制度」などたくさんの難問があります。

特定技能外国人を採用する場合、これまで述べてきたように受入れ企業(受入れ機関)は、各種支援を実施する義務があり労力・費用においてコストがかかります。そのため、なるべくコストとミスマッチを省くことが望まれます。


そこで、弊所が提案する失敗しない特定技能外国人採用方法は

「日本にいる留学生をインターン活用を使って採用する」

という方法です。

■留学生をアルバイトで雇ってみる

弊所がおすすめするやり方は留学生を留学生VISAの間に自社でアルバイト雇用して、自社の仕事にトライしてもらうというものです。
留学生の間だけ使える「資格外活動許可」という許可があり、この制度を利用しようという試みです。

日本に留学生として在留している外国人は30万人近くいます。そのうち日本での就労を目指している人は55%以上といわれていますが、実際に国内に就職した留学生の割合は、約30%に留まっています。

本当は日本で働きたいのに、なかなか日本で正社員として採用される機会がないのです。

そこで弊所では留学生の間にアルバイトとしてその企業の仕事になじんでもらい、採用側・外国人ともにマッチングすれば本採用してもらうことをお勧めしています。外国人が就労する際の就労VISA(在留資格)には

『技術・人文知識・国際業務』
『特定活動(46号)』
『特定技能』
『技能実習(今後は育成就労制度へ移行)』

などがありますが、『技術・人文知識・国際業務』VISA(在留資格)は大学や専門学校、10年以上の実務経験など、就業するうえで専門性を求められます。

一方、日本に留学してきている外国人は、大学や専門学校だけでなく、単に語学学校で学んでいる、いわゆる「専門性」を持たない人も多いのです。彼らは卒業しても、日本で働くための就労VISA(在留資格)が取得できない人も多いのです。

そのため、「専門性が必要ない仕事」に従事できる代表的な就労VISA(在留資格)『特定技能』を、留学生のうちに試験でパスしてもらい、卒業後に1号特定技能者として採用するという方法は採用側・外国人ともにWINWINな関係になるのです。

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弊社がおこなうインターン活用の外国人採用スキーム

弊所は在留資格(VISA)の申請をサポートする行政書士事務所です。このスキームは人材紹介ではなく、あくまでも在留資格申請のためのサポートです。

弊所がこのインターン活用でサポートする内容は以下のとおりです。

・留学生をリクルートするための大学や専門学校へのアプローチのアドバイス

・その留学生が御社の職種で働けるかどうかのアドバイス

・大学や専門学校との相談サポート

・インターン採用時の御社と留学生のマッチングサポート(留学生からもクレームがあればその改善を図る)

・マッチングが決まれば、卒業後の本採用を目指し就労VISAへのVISA変更申請を進める

・採用後も必要であれば1年間のフォローサポートを継続

留学生をインターン採用したいけど、自社の業界・業種に合うかわからない、どうやって留学生をリクルートすればいいのかわからない、などお悩みの方はぜひお問い合わせください。