外国人の就活と日本語のレベルの関連性

外国人の就活と日本語のレベルの関連性はあるのか?

日本で働く外国人労働者の数は2020年の統計で1,724,328 人おり、その数は年々増えています。
そのうち「技術・人文知識・国際業務」のような専門的・技術的分野の在留資格の労働者数が 359,520 人とこちらも増加傾向にあります。2022年時点での外国人労働者の数は、COVID-19の影響で外国からの日本への入国が規制されていた期間が長かったので一時的な減少傾向が予想されますが、今後はコロナ規制が日本でも通常化していくと考えられ、また外国人労働者の数も増加していくでしょう。

そこで外国人の方々が日本企業に就職する際、日本語が話せる必要があるのでしょうか?また、どれほどのレベルの資格を持っていたらいいのでしょうか?留学生の就活や外国人の転職に必要な日本語レベルについてみていきましょう。

 

結論からいうと日本語能力は必要です。しかし仕事の内容や採用する会社により求められる日本語レベルは違ってくるでしょう。例えば、IT企業などのエンジニアを求めているベンチャー企業の場合、業務をするには日本語能力は関係ないため、日本語レベルはあまり関係ないかもしれません。
逆に営業職で日本人と同じ業務内容をする場合、日本人客に通じるレベルの日本語が必要になります。

では就職するまでにどれくらいの日本語レベルが必要なのでしょうか?

 外国人の求人で求められる日本語レベルの例

 

    業務の内容の例         必要となる日本語のレベルの基準   
 日本人を相手にする仕事の場合

営業職、コンサルタント、金融業
サービス業、介護、など

 
 日本語能力試験(JLPT)の場合
N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より広い場面で日本語をある程度位階できる。

 ビジネス日本語能力試験(BJT)の場合     
J2(420~529点) :限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある

エンジニア系の仕事の場合

 製造業エンジニア、ITプログラマー 研究職、  

  
日本語能力試験(JLPT)の場合
N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる。
以上

 ビジネス日本語能力試験(BJT)の場合     
J3(320~419点) :限られたビジネス場面で日本語によるある程度のコミュニケーション能力がある
以上

 

ここに挙げ日本語能力レベルはあくまでも参考ですが、外国人の求人内容によく見られる基準になっています。

日本企業で働き続けたい外国人の場合


結局のところ、外国人が日本語を話す必要があるかどうかは仕事内容によると思います。しかし、実際に日本企業の中で仕事するということは、その企業の家族になることと似ています。会社の仲間とコミュニケーションを取るのに、日本語が不得手な人は自然と疎外感を受けることが想像できます。

日本語の勉強の継続は常に必要といえます。

理由のひとつに、残念ながら圧倒的に日本人は日本語以外の言語を話せません。大企業の社員でさえ、流ちょうに英語を話すことができる人は少ないのです。そのことから、日本企業の中でのコミュニケーションツールとしての言語はどうしても日本語になってしまいます。仮にあなたがエンジニアの場合、業務自体にはあまり日本語が必要なくても、他の社員とのコミュニケーションを深めるためにも、日本語学習は必要になると思います。程度の差はあれ、就活の際にも、採用後も日本語学習は継続していくことをおすすめします。

 

日本語レベルの低い外国人がどう仕事を探すか?

外国人の日本での仕事において、日本語能力の必要性はこれまでに述べてきたとおりです。仕事の内容や採用する会社により求められる日本語レベルは違ってきます。しかし、現時点で日本語レベルが低い外国人の方はどのように日本企業の仕事を探すかを考えてみましょう。

高い日本語レベルが求めらるケースは、一般的に、大企業や大手就活サイトでの就活が考えられます。このような企業の採用では、まず書類選考から始まります。大企業や大手就活サイトでは新卒でも転職でも求人の応募数が非常に多いため最初の書類選考でかなりの数の応募者が脱落することになります。そのため、外国人採用の際は必要な日本語能力レベルを高く設定するケースが多くなります。

逆に高い日本語能力を求めないケースは中小企業の外国人採用やLinkedInなどのスカウト型SNS・求人サイトを利用するときです。中小企業の採用の場合、採用までの審査のプロセスが短いため、書類審査よりも面接や、仕事の経歴などを重要視します。またスカウト型SNS・求人サイトでも、就職を希望する外国人のプロフィールやPRをみてスカウトが来るので、最初から高い日本語能力を求めない傾向にあります。

書類選考を重視するケースと重視しないケースの比較

            就活方法 求められる日本語レベル
書類審査を重視するケース  大企業への応募、大手就活サイトの利用、 N2、J2(420~529点)以上
書類審査を重視しないケース  中小企業への応募、小規模就活サイトの利用、                
LinkedInなどスカウト型SNS・求人サイトの利用、
会社経営者に直接オファーを受けるケース、
大学のキャリアセンターの利用、ハローワークの利用       
ケースバイケース      
人事権のある経営者などと直接話せる機会があれば、能力や実績重視で採用してもらえる可能性がある

しかし、これはあくまでも一般的な傾向です。外国人の日本語能力を重要視するか、しないかはやはり仕事の内容や採用する会社によると考えたほうがいいでしょう。

現在、日本語資格を持っていない人の就活方法

現在、まったく日本語の検定試験を受けていないという人が、日本企業の求人に応募する場合はどうすればいいのでしょうか?

これまで述べたように、まったく日本語を勉強していない人が、日本企業で働くことができる可能性は低いと思います。しかし、それでも日本企業で働きたい人は

 

日本語を勉強しながら、就職活動をしてください!

 

例えば、エンジニア職を希望する外国人であれば、就活サイトなどに登録をして就活を進めながら、そのうえで日本語の勉強も継続してください。
もし、面接やスカウトを受けた場合、「日本語資格の勉強も受ける予定」と会社に伝えましょう。まったく日本語を勉強する気がない人なのか、たまたま今まで、日本語資格を受ける機会がなかった人なのかで、採用する側の印象も違うからです。

また、日本語の検定試験は有名なものとして、「日本語能力試験(JLPT)ビジネス日本語能力試験(BJT)」が代表的な試験です。

JLPTはもっとも代表的な日本語資格試験ですが、年に2回しか試験を受けられません。これに対してBJTは受験したい人の都合に応じて日時と会場(テストセンター)が選べます。ほぼ毎日試験は実施されているので、自分の勉強の進み方次第で試験日を決められます。※ただしBJTを1度受験すると、次の受験までに3ヵ月空ける必要があります。つまり、BJTは1年に最大4回受けられることになります。

現在、まったく日本語資格のない人は、まずBJTの勉強をしながら、就活を進めることをお勧めします。

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